
日本の軽音楽史に残る名盤として真っ先に名前があがるシンガー・ソングライター、大滝詠一(1948~2013年)のアルバム「A LONG VACATION」が21日、昭和56年の発売から40周年を迎えた。この名盤が誕生した経緯を関係者の話などで振り返ろう。(文化部 石井健)
■永遠の夏休み
「A LONG VACATION」は56年3月21日に発売された。「君は天然色」「恋するカレン」「さらばシベリア鉄道」など全10曲を収録。いずれも大滝が作曲、歌詞は松本隆が書いた。
ぶ厚く、しかし軽やかな響きの伴奏も特徴だ。これは大滝のアイデアで、ピアノや生ギター、打楽器類を複数台同時に演奏したことで得たサウンドだ。大滝の繊細な歌声を引き立てる。
永井博のイラストによる装丁と相まって、その歌の世界は聴き手を永遠の夏休みにいざなう。
「歌詞とメロディー、サウンドとボーカルがすごくよくできている。最初から最後まで全部いい曲だ。それが、40年たっても色あせない理由です」と絶賛するのは音楽出版社、フジパシフィックミュージック会長の朝妻(あさつま)一郎(78)だ。
発売元のソニー・ミュージックレーベルズ(東京都千代田区)によると、昨年までの出荷枚数は累計で200万枚以上にのぼる。
■実験の成果
大滝は岩手県出身で、4人組ロックバンド「はっぴいえんど」にボーカルとギターで参加して45年にレコードデビューした。バンドは47年に解散し、以降、大滝は単身で活動した。
昭和50年代前半の大滝は自宅の録音スタジオにこもりきりで、CMソングやコミカルで実験的な要素が強いアルバムを作って過ごした。マニアが愛好する音楽職人であり、ヒットメーカーではなかった。
大滝と制作会社を共同設立するなど、大滝の作品管理とビジネス運用を長年行ったパシフィックの朝妻は「CMソングでの音楽的実験の成果など蓄積したものを消化できれば、絶対すごいものが出てくると確信していた」と語る。
■あなただけI LOVE YOU
「この曲は男性向きだ」と大滝は、また曲を没にされた。昭和55年3月、CBSソニー(当時)のディレクター、川端薫(72)が、大滝が須藤薫(1954~2013年)用にもってきた新曲を突き返したのだ。
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