イギリスのチャールズ国王の次男、ハリー王子の自伝が10日、世界各国で発売されました。
父親の再婚に反対したことや、兄 ウィリアム皇太子との対立などを赤裸々につづっていて、地元メディアは大きく取り上げています。
16か国語で出版された自伝には、みずからが王位継承者の「予備」として扱われてきたという意味を込め「スペア」というタイトルが付けられています。
この中では、5月に戴冠式を控える父 チャールズ国王とカミラ王妃の2005年の再婚について「世界中が母 ダイアナ元皇太子妃とカミラ氏を比べることになるため、再婚しないよう懇願した」と振り返っています。
また、2019年、兄のウィリアム皇太子から妻のメーガン妃について「気難しく、無礼だ」などと批判されたことから口論となり暴力を振るわれたとしています。
このほか、母親の交通事故死に疑問を抱き、再調査を求めようとしたものの周囲に説得され断念したことなど赤裸々につづっています。
本の内容についてイギリス王室はこれまでコメントしていません。
ハリー王子夫妻は3年前に王室の公務から退きアメリカで生活していますが、動画配信大手ネットフリックスの番組などで王室批判を続けていて、今回の自伝についてもイギリスメディアは大きく取り上げています。
一方、イギリス国内で行われた世論調査では、ハリー王子について「好意的な意見を持っている」と答えた人は26%と調査を始めて以来最も低くなり、自伝の出版について批判的な意見も聞かれます。
タリバンの兵士殺害も告白 非難や批判も
この中では「戦闘の熱気と混乱の中で、私はその25人を人間としては考えなかった。彼らは、チェス盤から取り除かれた駒で、いい人たちが殺される前に消さなければならない悪いやつらだった」とした上で「この数字は達成感で満たしてくれるものではないが、恥じ入るものでもない」として任務の正当性を強調しています。
この内容が一部メディアで報じられたことを受け、タリバンの幹部の1人はツイッターで「あなたが殺したのはチェスの駒ではなく、人間だった。彼らには帰りを待っている家族がいた。国際刑事裁判所や人権団体があなたを非難するとは思わないが、これらの残虐行為が人類の歴史に記憶されることを願っている」と非難しました。
また、イギリス陸軍の元将校などは現地メディアに対し、戦地での任務について明らかにするのは軍をおとしめる行為であり、王子自身や家族が報復されかねない危険なことでもあると批判しています。
ロンドンの書店では朝6時から待つ人も
店内では自伝が大量に平積みにされ、さっそく買いに来る人の姿も見られました。
店の前で朝6時から待っていたという女性は「ハリー王子が家族、特に兄のウィリアム皇太子についてどう書いているのか、読むのが楽しみです。誰でも家族との関係はなかなかうまくいかないものだし、これで王室が壊れてしまうことはないと思います。いずれまた家族として一緒になってほしいです」と話していました。
また、通勤途中に立ち寄ったという会社員の男性は「あすから友達と休暇を過ごすので話題を提供するために買いました。王室をめぐってはこうした騒ぎが何十年も続いているが、今回も大きな影響は受けないと思います。ハリー王子はこのようなことをせず、一市民として幸せに暮らしてほしいです」と話していました。
ハリー王子に「好意的な意見」調査始めて以来最も低く 世論調査
一方、「否定的な意見を持っている」と答えた人は64%と5ポイント上がり、これまでで最も高くなりました。
また、兄のウィリアム皇太子についても「好意的な意見を持っている」とした人は69%と先月に比べて8ポイント下がったのに対し、チャールズ国王は60%、キャサリン皇太子妃は69%、それにメーガン妃は23%と、いずれも顕著な変化が見られなかったと分析しています。
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