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カンヌ映画祭、本紙記者が話題たっぷりの12日間をリポート…コンペ部門はコッポラ作品に注目 - 読売新聞オンライン

 南仏カンヌできょう(現地時間)、第77回カンヌ国際映画祭が開幕します。現地に入った記者が、祭典に湧くカンヌの様子をお伝えしていきます。(文化部 松田拓也)

 記者は開幕式前日の13日夕方、ニース・コートダジュール空港に到着しました。すると、手荷物受取所にて、カンヌでワールドプレミアを迎える「マッドマックス フュリオサ」に主演しているアニャ・テイラージョイさんの姿が! 数人のファンとの写真撮影に笑顔で応じ、さっそうと去って行きましたが、ベージュのドレスに身を包んだ立ち姿は、優雅そのもの。いきなり、「ああ、今年もカンヌに来たんだなぁ」と実感する出来事でした。

 一方で、手荷物を受け取って管制エリアを出ようとした記者は警備員に呼び止められ、「何のために来たのか」「衣類の他に何がスーツケースに入っているんだ」「1000ユーロ以上、持っているのか」などと問いただされ、あたふた。3度目のカンヌにして、初めての経験です。事なきを得ましたが、改めて気を引き締め直し、カンヌへ向かいました。

 ホテルにチェックイン後は、メイン会場となる巨大な会議場、パレ・デ・フェスティバルへ向かいます。今年の映画祭の公式ポスターには、長崎で被爆した祖母とその孫のひと夏を描いた黒沢明監督「八月の狂詩曲(ラプソディー)」の一場面が採用されました。映画の中では、祖母と孫たちが見上げていた満月が、映画祭のシンボルマークに置き換えられています。

 映画祭は、選定理由を「(この映画は)団結すること、すべての物事に調和を求めることの大切さを思い出させてくれる」と紹介。世界が混迷を極める中、平和を希求する力強いメッセージが込められています。1枚のポスターとして見るよりも、カンヌの青空をバックに掲示された光景はひときわ美しく映ります。

 黒沢監督に関しては、「七人の侍」の日本公開70周年を記念した4K修復版が、クラシック部門にて15日に上映されます。お披露目は、約1000人を収容するドビュッシー劇場で。その模様も確かめる予定です。

 映画祭の目玉となる、最高賞パルムドールを競うコンペティション部門。今回は22作品が出品されています。日本映画の出品こそありませんが、「万引き家族」でパルムドールに輝き、昨年は「怪物」で坂元裕二さんに脚本賞をもたらしたことも記憶に新しい是枝裕和監督が、9人からなる審査員の1人に選ばれています。審査委員長は、昨年公開の「バービー」を手がけた米映画監督のグレタ・ガーウィグさんが務めます。

 そのコンペ部門で、何と言っても注目はパルムドール受賞作「地獄の黙示録」(1979年)以来の選出となったフランシス・フォード・コッポラ監督の「メガロポリス(原題)」。コッポラ監督が長年温めてきた構想を形にした作品で、災害で壊滅した現代のアメリカの街を再建しようとする建築家の物語のようです。公式上映は会期序盤の16日。いったい、どんな作品に仕上がっているのか。楽しみです。

 このほか、「哀れなるものたち」でベネチア国際映画祭、米アカデミー賞を席巻したヨルゴス・ランティモス監督の新作「憐(あわ)れみの3章」や、中国のジャ・ジャンクー監督、長編デビュー作でコンペ入りを果たした仏のアガット・リーダンジェール監督などもいて、パルムドールの行方は例年にもまして激戦模様。個人的には、おととしのオープニング作品「キャメラを止めるな!」の日本公開の際、取材に「かなりの挑戦。題材的にもそうだし、キャラクターも全部、自分で描いた」と語っていた仏のミシェル・アザナヴィシウス監督のアニメーション作品に期待しています。授賞式は最終日の25日に行われます。

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